時間生物学研究所にログイン!
おーっす!コムです!
今回のクエストでは、つくば市春日にある公益財団法人国際科学振興財団にやってまいりました。
こんなカッチリした場所に、何をしに来たのかというと、
とある研究所からお呼び出しをもらったためです。
あまりに色んな所で好き勝手してしまったので、どこかで怒りを買ってしまったのかもしれません。
ここは一つ、丁重にトサカを下げに来たわけであります。
様々な研究所が在籍する公益財団法人国際科学振興財団。
なかでも今回コムがやってきたのは、303号室にある「時間生物学研究所」です。
時間生物学…?!
大学でも聞いたことがない学問の名前だ。
めちゃくちゃかっこいい印象を受ける。
時間【TIME】も生物【CREATURE】も中学生の時から脳みその成長がストップしているコムにとっては大好物な単語。
時空を飛び交う伝説のドラゴン、時の魔術師、タイムパトロール、ザ・ワールド、時の砂…etc
男の子にはたまらんワードですよね。
お呼び出しを食らった身ながら、なんか超絶ドキドキしてきました。
一体どんな【時間生物】に会えるのだろう。
時間生物学研究所の所長に聞く!「時間生物学」ってなんなんだ!
お出迎えしてくださったのは時間生物学研究所の所長兼主席研究員である石田直理雄(いしだ のりお)先生。
石田 直理雄先生(62才)。仙台出身で筑波大学生物学類に2期生として在籍していた。
筑波大学生命環境学群にて連携大学院教授を務めていたこともあり、全国場所を問わず非常勤講師として授業を行いながら、
“時計遺伝子”の研究を25年続けてきたお方。
研究のためなら場所を選ばないという飽くなき探究心の持ち主だが、
なんと元々は文系で行動心理学に興味を持っていたという。
それも科学誌をたまたま読んでいたら、これからは行動も遺伝子からやれる時代だ!の文字を見たことがきっかけで文系から理系に転向。
そして筑波大学農林学類から遺伝子について学べる生物学類へ移った後、より時計遺伝子について学べる阪大の医学部へ行ったり、当時の教授の研究所が変わってもどこでもついていき、たどり着いた京都大で学位を取得するに至るほどの一意専心ぶり。
今でも時間生物学研究所の所長を務めながら、時計遺伝子研究を続けている時間生物学界のスペシャリストである。
「こんにちは!
時間生物学、恥ずかしながら初めて聞いた学問なのですが、めちゃめちゃかっこいい名前ですね!
一体、どんな【時間生物】の研究をしているのですか?」
「ハエです。」
「!?!?!?」
「時間生物学研究所では主にショウジョウバエを用いて、
遺伝子の中でも時間に関係する”時計遺伝子”の同定や、時計遺伝子がもたらす生物への影響について研究しています。」
「えっ、時間生物って、えっ」
「ハエです。」
「かっこいいと思っていたのに」
「ハエです。」
コムの妄想中2ワールドの崩壊が落ち着くまで少々お待ち下さい
「…とりあえず、何でハエなのかは後でお聞きするとして。
遺伝子の中でも時間に関係する時計遺伝子と呼ばれるものの研究を行っている。ということですか?」
「そうです。
体内時計なんかは親しみのある言葉ですよね。
時間に関係する遺伝子が作用する部分が身体にはあって、
例えば睡眠にもある時計遺伝子が関わっていて、それがよく作用すると眠くなります。
そういう色んなタイプの時計遺伝子を探し出して、さらにその遺伝子が有るのと無いのとではどのような違いが出てくるのかを観察しています。」
「なるほど。
では、具体的にどのような研究をしているのかを見せてください!」
「どうぞこちらへ!」
1万匹のハエを観察!超絶地道な基礎研究が果てしない。
「こちらに研究に使っているハエが入っています。」
「え、これハエですか?」
↓ハエが苦手な人は閲覧注意!↓
ケースごとに管理される大量のハエ君。
それぞれ遺伝子の一部を抑制させたり強く発現させたりしている、異なる遺伝子状態の個体たち。
そのハエ君たち同士を比べることによって、“どの遺伝子を”“どういう風にいじると”“どんな違いが出てくるのか“が分かる。
ちなみにケース一本に100匹は入っており、さらにこのケースが100本はあるとのことなので、単純計算でもここに1万匹のハエ君がいる、ということになる。ほげぇええええーーーー
さらにこちらに内部に検察したいハエ君を入れておくと、
そのハエ君がどんな行動をしたのかを随時CCDカメラで記録することができる。
この子がいつ寝てた、みたいなこともデータ化して、
「この行動にはこの遺伝子が関わっている!」と定義するところで役に立つ優れもの。
「ハエだと小さいから、こういう機械に入れてデータを取る!ってときには場所も取らないしいいですね!」
「そうなんです。
僕も昔はラット(研究用のネズミ)で時計遺伝子の研究をしていたんだけど、
一つの遺伝子をいじってからその表現系を見るまでに2年位かかったこともあったんだ。
それに比べてハエは寿命が60日程度だから、遺伝子をいじってからそれが発現するまでのサイクルが短いので、研究がより進むよ。」
研究によく用いられているのはハエの中でもショウジョウバエという種類のさらに研究用に改良された品種。
この種類のハエの遺伝子は、今まで多くの研究者が解き明かしてきたため、他のハエに比べて遺伝子研究に使いやすいのだそう。
そして小さいこと、寿命が短くサイクルが早いことなどなど色んなメリットがあるため、
研究者には引っ張りだこなスーパースターバエなのだ。
「そして一種の研究のやり方として、
一つ一つの遺伝子を順番につぶしていった時に、
ある遺伝子をつぶすと睡眠の質が悪くなったり、っていうのを見る方法がある。
それはつまり逆に言うと、その遺伝子は睡眠にとってたいせつな遺伝子なんだと言えるわけです。」
「それってもしかして、、すごく果てしない研究では?
一匹ずつ違う遺伝子をつぶしていって、そのハエごとの人生を追いかけて、
そこから得たデータをみて、その遺伝子にどんな意味があったのか!
って分析していくのって超絶地道な気がします。」
「そのとおり!ものすごく果てしないよ、ハッハッハッ!」
「そこまで果てしない研究をずーっと続けてきたわけですよね。
一体、時間生物学はどこがそんなに面白いのでしょうか?」
「そうだね~。
免疫学、精神医学などのものすごく広い分野と関係がある分野でね。
新しいことを見つければ色んな分野にも新しいインパクトを与えることが出来る!という面白さがあるかな。
そしてそれがオイシイところかな、へへっ!」
「ここでの発見が、各分野での大きなインパクトにつながる可能性があるのですね。
今までにどんなインパクトを与えたことがありますか?」
「2017年にこの分野からノーベル生理学・医学賞の受賞者が出ました!」
「すごい!世界的にも価値のある分野だと裏付けられる快挙ですね!」
「その時はさすがに眠気が覚めました(笑)」
朝ごはんを食べると痩せる、衝撃のメカニズムが明らかに!
「ところでコム君、朝ごはんは食べてる?」
「いえ、昼前まで寝ていてすっ飛んできたので何にも食べてません!」
「ははは(笑)
それは良くないね。
朝起きたら朝ごはんを食べる、実はこれが意外と重要だということが研究で分かってきたんだ。」
「腹時計は実在する。」
そう続けた石田先生。
なんと内臓でも時計遺伝子は作用するため、朝ごはんを食べると消化器官が”朝だ”と理解するらしい。
脳が朝だと感じて、その結果消化器官も朝だと理解するのではなく、
お腹が直接お腹で朝を理解しているとのこと。
つまり逆に、朝ごはんを食べないとお腹は朝だと理解しないまま一日が始まってしまうということ。
お腹が朝を理解しないと何が悪いのか。
なんと、時計遺伝子の仕業で、肥満になりやすさがグンと上がってしまうのだという。
これにはコムも驚きを隠せない。
朝ごはんの分、カロリーを摂取していないはずがかえって太ってしまうということ。
身体にこんなメカニズムがあったなんて、完全に初めて知った。
これがラットで明らかになった実験結果。
- 上が自由食事(24時間、いつでも食事ができる状態で生育したラット)
- 下が限定食事(8時間と決められた時間内での食事を行ったラット)
上のラットは完全にメタボリック体型なのが一目瞭然。
「何をどれだけ食べるか」ではなく「いつ食べるか」が重要だという。
さらには朝ごはんをしっかり食べる。これだけで、こんなに?!くらい良いポイントがたくさん。
身体のコレステロール値、血糖値、体脂肪、体重は下がり、
代わりにエネルギー消費量と持久力が増すという。
また成績も向上、事故率も低下、
朝ごはんを食べる(=時計遺伝子をうまく活用する)ことで、こんなにも素敵な効果が得られるのだ。
時計遺伝子…恐るべし。
そのへんのコンビニでお腹が空いたらすぐになにか食べる!という食生活を
朝早起きして松屋食堂で朝ラーメンを食べる!という食生活に切り替えるだけで、
ファットなボディから、
スリムでヘルシーなスーパーナイスグレートモテモテイケイケボディへと変化を遂げられるのではないでしょうか。
どうせ食べるご飯でも、時間一つで大違いですね!
さいごに
本日は時間生物学の色々なお話を聞けてとても楽しかったです。
最初は時間龍【タイムドラゴン】など中2病全開で叱られるかと思いましたが、
時計遺伝子について教わって、
最後には朝ごはんをしっかり食べよう!という結論までたどり着きました。
途中で紹介した、ハエのスーパー行動分析マシーンも絶賛販売中だそうですので、
興味のある研究者さんや、「ハエの動き、一秒残らず把握したいぃいい」といったハエマニアの方まで、
もし欲しいという方がいたら、お問い合わせフォームよりご連絡お待ちしております。
そして時間生物学に興味がある!おもしろそう!もっと生の声を聞いてみたい!
そんな方にも朗報です。
2018/07/21(木)に昨年のノーベル賞の立役者Texas A&M Dr. Paul Hardinさんが時間生物学研究所にて
「ショウジョウバエの体内時計分子生物学」の最新セミ
詳細はまた後ほど公開されるとのことなので、行ってみたい!という人はぜひご連絡をお待ちしております!
自分は今回の取材で1万匹のハエに囲まれてげっそりと無事痩せることが出来ました。ハエダイエット!バンザイ!
それではまたジカイ!
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