Tsukuba Place Lab明日ついに3周年。クラウドファンディング実施中!

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この記事はミニ小説風にTsukuba Place Labへのクラウドファンディングを応援するものです。

 

ある日、目が覚めると僕は六畳一間の毛布の中で丸くなっていた。時刻は午前七時。十一月も終ろうとしているこの時期につくばは毎年突然寒くなる。おそらく外は零度を下回っているだろう。今日も僕は眠い目をこじ開け、寒い空気の中をゆらゆらと風呂へ向かう。いつもなら二度寝しているだろうが、今日はダメだ。朝から予定がある。サッと湯に身体をくぐらせ、スイッチを入れる。一度起きてしまえばこっちのもんだ。朝飯に昨晩作った二宝菜(玉ねぎともやしのみの八宝菜)を米にかけ、かきこむ。急いで着替えて家を出た。

こんな朝から何の予定があるのか。実は自分でもよくわかっていない。先日大学の先輩から連絡があり、「コワーキングスペースを作るからおいで」と言われ、「それ食べられますか?」と金がないので反射的に胃袋から声が出たが、「食べられるよ!」と聞いたので、予定に入れてあったのである。これでお昼は先輩にお世話になれる。飯をおごってもらえるなら野の果てでも地の果てでも向かっていく。僕はそんな人間だ。

集合時間は七時と聞いていた気がするが、まぁ大丈夫だろう。三十分までは誤差の範囲内だ。集合場所は天久保三丁目の星谷ビル。わかたろうや千年一日など有名店が軒を連ねる、活気のあるビルだ。これなら飯にも期待できる。それにしても、手伝いって何だろう。ふらふらと呼ばれた二階への階段を上がっていった。

そこにはがらんどうのスペースがあり、特に中に何もなかった。床はフローリングで、申し訳程度の椅子とテーブルが置いてあるのみ。まさか、飲食店とは思えなかった。先輩はニヤニヤしながら迎えてくれた。「えっと、何屋さんですか?」「コワーキングスペースだってば」「こわーきんぐ?怖王?」「違う違う、co working。」ここで初めてグーグルで調べた。どうやら飲食店ではなく、WiFiや電源を貸し出し、ここでいつでも仕事ができるような場所だという。最近はやりのノマド系のノリだろう。今までそのような場所にはほとんど行ったことがなく、まだ調べただけでは実感がわかなかった。とにかく、「食べられるよ!」の一言に釣られてノコノコとやってきてしまったのはミスだったみたいだ。「壁、塗って。」とペンキとハケを渡され、わけもわからぬまま壁一面を真っ白に塗りたくった。頭の中には飯のことよりも、どういう業態なのかへの興味の方があふれてきた。

数時間経ち、ようやく壁塗りが終わった。他にも何人か手伝いが来ており、作業を通じて気が付くと仲良く話すようになっていた。彼らと先輩と僕の計六人で、残りの開店作業を続けた。ここまで来たら、やりきりたい!と何故かテンション高めで単調な作業をこなしていくチーム。今日が初対面とは思えない連携だった。

日が暮れ、作業は無事終わった。開店はなんと明日十二月一日だという。間に合ってよかったと安堵する一同。しかし、やはりコワーキングスペースとは、どんなことが出来る場所なのか最後まで実感はなかった。先輩に「WiFiと電源がある場所、ってだけで商売になるんですか?」と聞くと、「ならないよ」という。「は?」思ったことが口に出てしまった。すると先輩は丁寧に補足を入れてきた。「WiFiと電源だけではなく、ここを色んな人の夢を応援しまくる最高の場所にしたいんだ!商売になるかは分からないけど、とにかく大学周辺で頑張ってる人が集まってお互いに応援しあえるような、そんな空間が作りたいんだ!!」

そういえば今日も、初対面のやつらと一緒に壁を塗っているうちに仲良くなれた気がする。きっとそういうことなのだろう。Tsukuba Place Labと名付けられたこのコワーキングスペースでは、何かを一緒に成し遂げようとする人、それを応援する人、何かを成し遂げたので応援側に回る人、協力してもっと大きいことにチャレンジする人、そういう輪が広がっていくのだろう。

ここに来るまでは全くそんなこと予想してなかったし、イメージもつかなかったけど、その話を聞くとワクワクしてきた。だって、僕だってその中に入れるんだから!家にWiFiがなくて、仲間とミーティングする場所も決まってなく、朝から夜まで空いていて、相談できる人たちに囲まれている場所なんて、行くしかないでしょ。もはや家を出たときとは別人のように目をキラキラさせていた。

 

「そういえばもう三年経つのか。」相変わらず十一月末は凍えるように寒い。これからもっと寒くなっていくのを知っているだけに恐ろしくなる。あっという間に過ぎた三年の月日を、ラボのこたつで脳内早送り再生していた。今となってはあるのが当たり前、いつもの常連と顔を合わせ「よっ!」と挨拶するのが日常。今まで何回ここに足を運んだだろうか。もう百じゃきかないくらい通っているので、もう一つの家くらいに勝手に思っている。それでもあんな無鉄砲に作り出したこの場所がこんなに長く続くなんて、改めて考えるとすごいことしてるよな。

明日は十二月一日。Tsukuba Place Labが三周年を迎えようとしている。クラウドファンディングを使って作ったラボでは新たに三周年の節目に新たな仲間を募るためのクラウドファンディングを始動していた。「誰もが挑戦できる文化を醸成したい」をタイトルに、先輩はいまだに全速力で走っている。

やっていることは三年前から変わっていない。僕も結局三年前から相も変わらずこのラボで作業している。今思うとこの場所に助けられた場面はとても多い。大学から近く、学生はたったの三百円で一日使い放題。ミーティングをするのにも、じっくり作業するのにも、動画を取るのにも、グッズを梱包するのにも何でも使える。そこで出会ったかけがえのないご縁も多い。これが先輩の夢なのだ。そしてもっともっと加速させたいんだ。仲間が増えればできることも増えるし、大学には毎年新しい学生がたくさんやってくる。それぞれの夢が応援されれば、叶う確率も上がるだろう。

僕はこれからもラボで色んな面白い人と会話しながら、自分の経験値を積んでいく。そしていつまでもこの環境が続いていくために、クラウドファンディング支援ボタンを押した。場所に対する感謝を、一旦お金に変換して、後輩らにこの場所を通して伝えていけたらいいなという思いだ。そしていつか、もっと多くの夢を持った若者たちであふれ、なんでも挑戦できる最高の街になると信じて。

 

クラウドファンディングページはこちら

 

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